こんにちは。長崎・思案橋で「炭火やきとり武将門」の三代目をしている、熊谷将希(マサキ)です。
「暗号資産の税金が20%になるらしい」
そんなニュースを、2025年の終わりごろから目にするようになりました。たしかに、暗号資産の税金を見直す法律は、2026年に国会で成立しています。
でも、「もう20%になった」わけではありません。始まる日は、2026年10月27日の時点で、まだ決まっていないのです。
この記事では、財務省・金融庁・国税庁の資料と国会の記録をもとに、決まったこととまだ決まっていないことを分けて整理しました。
この記事の結論
- 20%の分離課税にする法律は、2026年3月に成立した
- 始まるのは「暗号資産を金融商品取引法で扱う改正」が施行された年の、翌年の1月1日から
- その施行日はまだ決まっていない。法律の期限から考えると、早くて2027年1月、遅くとも2028年1月
- 2026年の取引は、今までどおりの税金(総合課税)で計算する
いまの暗号資産の税金|最高55%の「総合課税」
まずは、いまの税金のしくみからです。国税庁の説明をもとにまとめます。
- 所得の種類は、原則「雑所得」
暗号資産を売ったり、ほかの暗号資産と交換したりして出た利益は、原則として雑所得になります - 給与などと合わせて税金を計算する(総合課税)
所得税は所得が多いほど税率が上がるしくみで、5%から45%までの7段階です。これに住民税10%が加わるので、合わせて最高55%になります(このほかに復興特別所得税もかかります) - 損が出ても、給与などとは差し引きできない
暗号資産で出た損を、給与の所得から差し引くことはできません - 会社員などは、20万円が目安
給与を1か所から受け取っている人は、給与以外の所得が合わせて20万円を超えると、確定申告が必要です
いまの税金の考え方は、こちらの記事でくわしく紹介しています。
いまの税金の基本【初心者向け】暗号資産の税金はいつかかる?長崎の焼き鳥屋の三代目が国税庁の情報でやさしく整理|所得の種類・確定申告の目安・記録の残し方暗号資産の税金を初心者向けに、国税庁の公式情報だけでまとめました。どんなときに税金がかかるのか、所得の種類、確定申告が必要になる目安、取引の記録の残し方まで、や…
何が決まったのか|2025年12月から2026年7月までの流れ

税金の見直しは、税の法律と、暗号資産の取引の決まりを変える法律の2つがそろって動く形になっています。
STEP
2025年12月26日 税の見直しの方針が決まる
政府が「令和8年度税制改正の大綱」を閣議で決めました。この中に、暗号資産の利益をほかの所得と分けて20%で課税することが入りました(財務省)。
STEP
2026年3月31日 税の法律が成立
分離課税のしくみを入れた「所得税法等の一部を改正する法律」が成立し、公布されました(財務省・参議院)。
STEP
2026年7月15日 取引の決まりを変える法律が成立
暗号資産を、これまでの資金決済法から金融商品取引法で扱うようにする法律が成立し、7月23日に公布されました(参議院・金融庁)。
STEP
これから 施行日が政令で決まる
金融商品取引法の改正が、いつから効力を持つか(施行日)は、政府が政令で決めます。2026年10月27日の時点で、暗号資産の部分の施行日はまだ決まっていません。
20%の分離課税は「いつから」始まる?
財務省の大綱では、分離課税が始まるのは金融商品取引法の改正の施行日が属する年の、翌年1月1日以後の売却からとされています。
そして、金融商品取引法の改正は、原則として公布の日から1年をこえない範囲で、政令で決める日に施行されます。公布は2026年7月23日なので、施行は遅くとも2027年7月ごろまでです。
始まる時期の考え方
- 施行が2026年中なら → 2027年1月1日から
- 施行が2027年になれば → 2028年1月1日から
施行は遅くとも2027年7月ごろまでなので、2028年1月1日より遅くなることはない計算です。専門家の解説では、2028年1月からと見込むものが多くなっています。ただし、正式に決まるのは、施行日の政令が出てからです。
まさき
「法律が成立した」と「税金が変わった」は別のことなんですね。施行日の政令が出たら、この記事も書き足します。
分離課税になると、何が変わる?
財務省の大綱と、成立した法律の要綱をもとに、変わることをまとめます。
変わること
- 税率は一律20%
所得税15%と住民税5%。ほかの所得と分けて計算します(このほかに復興特別所得税もかかります) - 損を3年間くり越せる
その年に差し引ききれなかった損を、翌年から3年間くり越して、利益と差し引けます - 先物などの取引も対象に
対象の暗号資産のデリバティブ(先物など)取引も、分離課税の対象に加わります - 暗号資産の投資信託・ETFも対象に
対象の暗号資産に投資する投資信託やETFも、分離課税の対象に加わる方針です - 取引所が税務署に報告する
取引所は、取引した人の名前・住所・マイナンバーなどを書いた報告書を税務署に出すようになります(始まるのは、分離課税のさらに翌年からです)
いまは、利益が大きいほど税率が上がります。分離課税になると、利益の大きさにかかわらず20%になります。そのかわり、所得が少ない人にとっては、いまより税率が上がる場合もありえます。
分離課税の対象にならない取引もある
ここは、とても大切なところです。暗号資産の取引が、すべて20%になるわけではありません。
大綱で対象とされているのは、国に登録された業者(暗号資産取引業者)に、登録簿にのっている暗号資産を売ったときなどです。法律の専門家の解説では、次のようなものは対象にならず、今までどおり総合課税に残ると見込まれています。
- 海外の取引所での売買
- DEX(分散型取引所)や、自分のウォレットでの交換
- 国の登録簿にのっていない暗号資産
- ステーキングやレンディング(貸暗号資産)で受け取ったもの
参議院の委員会も、法律を通すときの決議で、分離課税の対象は暗号資産の取引の一部にかぎられることを広く知らせるよう、政府に求めています。同じ決議では、分離課税にすることは国が暗号資産への投資にお墨付きを与えるものではないことも、知らせるよう求めています。
貸暗号資産のしくみは、こちらで紹介しています。
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暗号資産はNISAで買える?
いまのNISA(少額投資非課税制度)で買えるのは、株や投資信託などです。暗号資産そのものは、NISAでは買えません。
暗号資産のETFや投資信託は、日本ではまだ作ることができず、政府は政令を改めて作れるようにする方針です。ただ、それがNISAの対象になるかどうかは、2026年10月時点で決まっていません。金融庁の資料にも、NISAの対象にするとは書かれていません。
2026年の取引はどうなる?

2026年に売ったり交換したりした分は、今までどおりの総合課税で計算します。分離課税が始まるのは、早くても2027年1月からだからです。
分離課税が始まるまでのあいだも、始まってからも、変わらず大切なのが取引の記録を残しておくことです。
- 取引所から、年間の取引の報告書を取っておく
多くの取引所では、1年分の取引をまとめた報告書をダウンロードできます - 取引所の外でのやりとりも記録する
ウォレットに送ったものや、ほかの暗号資産と交換したものは、自分で記録しておきます - わからないときは、税務署や税理士に相談する
自分の場合にどうなるかは、早めに確かめておくと安心です
まさき
お店の帳簿と同じで、記録はあとからまとめて作るほうが大変です。毎年、報告書を取っておくところから始めてみてください。
よくある質問
暗号資産の税金は、もう20%になりましたか?
まだです。法律は成立しましたが、始まるのは金融商品取引法の改正の施行日が属する年の翌年1月1日からです。その施行日は、2026年10月27日時点で決まっていません。
分離課税はいつから始まりますか?
法律の決まりから考えると、早くて2027年1月1日、遅くとも2028年1月1日からです。専門家の解説では、2028年1月からと見込むものが多くなっています。正式には、施行日の政令が出てから決まります。
今年の利益は、20%で計算できますか?
できません。2026年の取引は、今までどおり雑所得などとして、総合課税で計算します。
今までの損を、分離課税が始まってから差し引けますか?
3年間くり越せるのは、分離課税の対象になる取引で出た損です。始まる前の損の扱いは、専門家の解説では対象外と見込まれていますが、くわしい扱いは、国税庁の案内が出てから確かめてください。
海外の取引所の取引も20%になりますか?
専門家の解説では、海外の取引所や自分のウォレットでの取引は対象にならず、総合課税に残ると見込まれています。
最後に
暗号資産の20%の分離課税は、法律は成立したものの、始まる日はまだ決まっていないというのが、2026年10月27日時点の状況です。
「20%になったから、今のうちに売ろう」といった判断は、まだ早いということです。決まったことと、まだ決まっていないことを分けて、落ち着いて情報を追っていきましょう。
暗号資産の始め方から税金・守り方までは、こちらのガイドにまとめています。
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長崎の小さなまちから、今日も世界へ。現場からは、以上です。
※この記事は情報提供を目的としたもので、税務の助言ではありません。ご自身の税金については、税務署や税理士にご確認ください。今の税金は国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」とタックスアンサー、見直しの内容は財務省「令和8年度税制改正の大綱」(2025年12月26日閣議決定)と「所得税法等の一部を改正する法律」の要綱、金融商品取引法の改正は金融庁の資料と参議院の議案の記録(附帯決議を含む)、対象にならない取引の見込みは法律事務所の解説をもとにした、2026年10月27日時点の情報です。施行日の政令や国税庁の案内が出ると、内容が変わることがあります。写真:Unsplash(Kelly Sikkema、Aaron Lefler、Jakub Żerdzicki)